そろそろモルタル壁の塗装を塗り替えたいんだけど、目安ってあるの?
ひとくちにモルタル壁といっても、使っている塗料や劣化状態によって塗り替え時期の目安は異なります。
この項では、モルタル壁の塗り替え時期の目安について解説します。
以前は木造住宅の外壁といえば、モルタル壁が主流でした。
モルタル壁はいわゆる湿式工法と呼ばれています。
セメントと砂を水を入れて練り上げたのがモルタル。
そのモルタルをラス下地(金属製の網)の上から塗りつけたのが、一般的なモルタル壁です。
モルタル壁は重厚感があって表面の仕上げも変化をつけやすいのですが、劣化しやすいというデメリットがあります。
乾燥収縮によるひび割れなどが起こりやすいのですね。
ひび割れがあると雨水が侵入して、構造体を痛めるリスクがあります。
モルタル壁はこのような劣化を早めに補修しなければいけないので、定期的なメンテナンスが欠かせないのですね。
ひとくちにモルタル壁の塗装といっても、種類は様々です。
塗装の種類によって耐久性やメンテナンス性に違いがありますので、種類別に解説していきましょう。
リシン仕上げとは一般的にアクリルリシンという樹脂を吹き付けた塗装のこと。
砂壁のような細かい凸凹が特徴的ですね。
また左官仕上げとは、職人がセメントをコテで均したもの。
どちらも意匠性が高いのがメリットですね。
しかしリシン仕上げも左官仕上げも、耐久性の面ではやや劣ります。
細かなひび割れが起きやすいので、定期的なメンテナンスが欠かせない塗装ですね。
以下におおよその目安をあげてみました。
目安のサイクル | |
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ひび割れ部分補修 | 5~10年 |
部分吹き付け | 8年 |
全体塗り替え | 15~20年 |
吹付けタイルは別名・複層仕上塗材とも呼ばれ、いろいろな表現ができる塗装材です。
テクスチャの種類が豊富なうえ、塗膜が厚い(1~5mm)ので耐用年数が長いというメリットがあり、広く用いられています。
吹付けタイルの場合は定期的なメンテナンスはあまり必要ありませんが、10~20年で全面塗り替えすると良いでしょう。
最初にご説明したとおり、モルタル壁は劣化しやすい外装材です。
ただ劣化は見た目にわかりやすいので、自分で見て確認することもできます。
以下に代表的な劣化状態をあげていきましょう。
長年にわたって太陽光を浴びたことにより、表面の塗料は色褪せてきます。
また空気中の汚れやカビなどによる汚れも出てきますね。
色褪せや汚れは表面的なものですが、放っておくと深刻な劣化につながります。
外壁の表面に白い塊のような汚れが出ていたら、それはエフロレッセンスかもしれません。
エフロレッセンスとは、モルタルの成分が空気中の二酸化炭素と反応して、白色の結晶になること。
それ自体は大きな問題とは言えないのですが、建物の美観が損なわれますし、モルタルの劣化が進んでいることは明らかです。
早めの塗替えを検討しましょう。
ひび割れは、その程度によっては深刻な劣化につながります。
単に塗替えだけでなく、補修作業が必要になるケースが多いですね。
ひび割れ幅によって補修方法が異なりますので、それぞれ見ていきましょう。
幅の狭いヘアークラックといわれる状態のときは、それほど大がかりな補修は必要ありません。
樹脂モルタルやセメントフィラーで割れた部分を埋めるだけです。
幅が広い構造クラックになると、モルタル内部にまで割れが及んでいることが予想されます。
したがってひび割れに沿って削り取り、U字溝を作ったところにシーリング材を充填します。
これをUカットシール工法と呼びます。
ひどいひび割れで漏水が起こっているような状態のときは、モルタルを完全に除去して下地を再仕上げするという大がかりな補修が必要になることもあります。
ひび割れが小さいうちに適切な補修をしておきたいですね。
モルタルが一部ポコッと浮いているときは、モルタル面と下地が接着不良になっている状態です。
浮きを放置しておくと剥がれてしまいますので、ひび割れと同様に補修をします。
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具体的には、浮いている部分にドリルで穴を開け、エポキシ樹脂を注入するという方法をとります。
ここまで見たとおり、モルタル壁は単に塗装を塗り直すだけでなく、ひび割れなどの補修をしなければいけません。
このメンテナンスの手間がかかるので、最近ではモルタルではなくサイディング壁にする住宅が増えています。
ただモルタルならではの重厚感やテクスチャが、魅力でもあるのですね。
もしご自宅の外壁がモルタルであれば、こまめに自分の目でチェックしてみてください。