リフォームすると費用の一部が戻ってくる、という話を聞いたことはありませんか?
通称リフォーム減税と呼ばれるものですが、詳しく知っている人は少ないでしょう。
外壁塗装工事をなるべく安く済ませるためにも、リフォーム減税の基本を押さえておきましょう。
リフォーム減税というのは通称で、正式には住宅借入金等特別控除という名称です。
この住宅借入金等特別控除は、リフォーム工事等でローン(借入金)で支払った場合に、将来にわたって所得税を減税するというもの。
リフォーム工事をしたらすぐにお金が戻ってくるわけではないので注意しましょう。
どのように減税されるのか?
工事をした時期によって減税の内容は異なりますが、簡単なシミュレーションをしてみると以下の通り。
年末の残高 | 減税額 | |
---|---|---|
1年目 | 280万円 | 2.8万円 |
2年目 | 240万円 | 2.4万円 |
3年目 | 200万円 | 2.0万円 |
4年目 | 160万円 | 1.6万円 |
5年目 | 120万円 | 1.2万円 |
6年目 | 80万円 | 0.8万円 |
7年目 | 40万円 | 0.4万円 |
8年目 | 0万円 | なし |
9年目 | 0万円 | なし |
10年目 | 0万円 | なし |
ローンによる借入額を返済していき、昨年末の残高×1%が控除額。
この控除は勝手にやってくれるものではないので、確定申告が必要です。
必要書類を揃えて確定申告をすると、翌年以降は年末調整で対応できますので、初年度だけは頑張りましょう。
基本的には自分が住むための専用住宅が対象になります。
一部を店舗として利用している店舗併用住宅の場合でも、床面積の2分の1以上が居住用であれば問題ありません。
この制度は居住していた時期によって控除の内容が異なります。
平成19年~平成33年のいずれかの時期に居住していればOKです。
工事で一時的に仮住まいをしていても、工事完了してから戻れば居住していると見なされます。
この制度は将来にわたって所得税を控除するので、その年ごとの所得金額が判定条件になります。
例えば工事をして3年後に所得が3,500万円になったとしたら、その年の減税は受けられません。
外壁塗装工事の場合、塗装した壁の面積が対象になります。
工事に際して自治体から補助金を受けている場合は、その金額を差し引いた額が判定対象になります。
この控除の対象となるのは工事費用の支払いにローンを組んだ時のみで、一括払いでは対象になりません。
銀行や住宅金融支援機構等からのローンが対象になります。
住宅借入金等特別控除を受けるためには、借り入れをした年の確定申告で手続きをしなければいけません。
サラリーマンでも、一年目は確定申告が必須です。
例えば2019年にリフォーム工事をしてローンを借りた場合、2020年2月〜3月の申告期間に以下の書類を用意して確定申告をしましょう。
それぞれの書類についてカンタンに解説します。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書とは、実際にどのくらいの控除額になるのかを計算した書類です。
確定申告書と同様に、一定の書式があります。
国税庁のホームページからダウンロードしてみましょう。
一見すると複雑で、どうやって書いたら良いか分からないかもしれませんね。
もし不明な点があれば、税務署に行って相談すれば丁寧に教えてくれますよ。
ただ確定申告の時期になると、税務署の窓口は非常に混み合います。
なるべく早い時期に相談に行ったほうが良いですね。
年末残高等証明書は、ローンを借り受けた金融機関に発行してもらうものです。
自宅に郵送されてきますから、無くさないように保管しておきましょう。
増改築等工事証明書は、リフォーム工事を施工した業者が作成するものです
この増改築等工事証明書は業者が作成しなければいけないので、工事前にキチンと書類についての打ち合わせをしておきましょう。
忘れるとせっかくの控除が受けられなくなりますよ。
悪質な業者に当たってしまうと、工事後に連絡が取れなくなって増改築等工事証明書も発行されない、なんて事態にもなりかねません。
見積りのときに、増改築等工事証明書についての相談をしておきましょう。
まず見積り段階で、良い業者かどうかを見極めたいですね。
家屋の登記事項証明書などを添付する理由は、以下の事項を証明するためです。
登記事項証明書は所管の法務局で発行してもらわなければなりません。
リフォームの場合は、工事業者との請負契約書のコピーで十分でしょう。
また、省エネリフォームなどので自治体の補助金などを受けている場合は、補助金の額を証明する書類のコピーが必要です。
控除の対象となる所得税を把握するために、会社から発行される源泉徴収票を添付しましょう。
この源泉徴収票は原本を提出しますから、念のためにコピーを取っておいたほうが望ましいですね。
ちなみに初年度の確定申告を済ませてしまえば、翌年は会社で年末調整してくれます。
自営業などの人は年末調整がないので、翌年以降も確定申告をする必要があります。
以上のように、リフォームでローン減税を受けるには、様々な書類や手続きが必須です。
経験豊富なリフォーム業者であれば、手続きのための書類作成などの相談にも乗ってくれます。
まずはいくつかの業者へ見積りを出して、あなたに合った優良業者を見つけたいですね。
今回は住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)に絞って解説してきましたが、リフォーム減税はこれだけではありません。
上記のような減税制度があります。
それぞれ条件や控除額が異なりますから、場合によっては住宅ローン減税よりお得になることも。
難しいポイントもありますから、詳しいことは見積りサービスの専門スタッフに相談してみるのが良いでしょう。
このような国としての減税制度とは別に、お住まいの自治体によっては独自にリフォーム対象の補助金・助成金を設定しているケースもあります。
例えば北海道帯広市の場合、10万円以上の工事で一律5万円の助成金が出ます。
(参考:住まいの改修に助成します | 帯広市ホームページ 十勝)
自治体によって内容や条件などが異なりますから、ご自分の住んでいる市町村で確認してみると良いかもしれません。
ちなみに外壁塗装などのリフォームで受けられる補助金の種類については、別のカテゴリーでまとめています。
地震や台風などで住まいが被害を受けて、屋根や外壁の補修リフォームをしたときも所得税の控除が受けられます。
いわゆる雑損控除と呼ばれているものですね。
この雑損控除を受けるための条件や手続きについて見ていきましょう。
雑損控除の対象となるのは、一定の資産や損害の原因に限られます。
雑損控除の対象となる資産は、実際に住んでいる住宅などです。
以下の資産は対象外になります。
例えば普段住んでいない別荘や、経営している会社で保有している社屋などは雑損控除できないので注意してください。
雑損控除を受けられる損害の原因として、以下のような事例が挙げられます。
自然災害だけでなく、火災や盗難なども対象になっているのですね。
またシロアリなど害虫による被害でも、雑損控除を受けられます。
雑損控除で所得税がどれくらい控除されるのか?
以下の計算式で多いほうが採用されます。
この雑損控除の計算はちょっと複雑なので、別記事であらためてシミュレーションしてみたいと思います。
雑損控除を受けるためには自分で確定申告をする必要があります。
会社で年末調整をしている人であっても、医療費控除や住宅ローン控除と同様に確定申告書を提出しましょう。
確定申告はインターネット上で行うこともできますよ(e-Tax)。
災害で被害を受けたときは、雑損控除とは別に災害減免法による所得税の軽減措置を受けられます。
特に被害が大きいときは、雑損控除よりも控除額が大きいケースがあります。
雑損控除と災害減免法は、どちらか有利な方を選択できます。
もし分からないことがあれば最寄りの税務署(または税理士)に相談してみましょう。
外壁塗装工事に関するリフォーム減税制度について簡単に説明してきましたが、なかなか複雑でしたね。
まとめると以下の通り
こういった制度は素人には、なかなか理解できません。
専門知識をもった人に相談してみてくださいね。