屋根の塗り替え工事で一番わかりにくいのが、屋根の面積です。
面積がわからなければ、どれくらい費用がかかるかわかりませんよね。
たいていは塗装業者さんが出してきた見積書に記載されている面積を、そのまま信じるしかないです。
しかしその業者がもしもダマそうとしていたら、どうでしょうか?
屋根面積を多めに見積もって、より高い料金にしようとするかもしれませんよね。
だから私たち発注者の側でも、ある程度の屋根面積を計算できたほうが良いです。
今回はカンタンに屋根面積を求められる計算ツールも用意しましたので、続けて見ていきましょう。
屋根面積をキチンと求めようとするならば、家の図面は欠かせません。
しかし古い住宅などでは、図面が見当たらないことも多いです。
図面がないと、屋根面積の計算は諦めるしかないのでしょうか?
もちろん計算する方法があります。
おおよその数字ですが、まったく分からないよりはマシですよね。
この速算法では、住宅の延べ面積が分かれば大丈夫です。
まずは1階部分の床面積を求めましょう
延べ面積 ÷ 階数 = 1階床面積
例えば延べ面積35坪の2階建て住宅であれば、
35 ÷ 2 = 17.5坪
となり、これを㎡に直すと、
17.5 ÷ 0.3025 = 57.9㎡
となります。
この1階床面積に一定の係数を乗じると、屋根面積が計算できます。
ただこの係数は、屋根の勾配によって変化します。
どの程度の屋根が急勾配なのか?緩勾配なのか?という基準は特にありませんが、
と考えてみましょう。
ただ正確な屋根勾配は図面(立面図)がないと、わかりません。
図面がないときは、ある程度の目測で判断してください。
以下のとおり速算法の計算ツールを用意しましたので、使ってみてください。
もし現状の屋根が瓦葺きだったら、瓦の枚数を数えて屋根面積を計算するということも可能です。
現在よく使われている瓦には、以下の三種類があります。
瓦の種類によって大きさの規格が異なるので、以下のとおり㎡当たりの枚数も変わります。
例えばJ形瓦で枚数が1,000枚だとすると、
1,000 ÷ 16 = 62.5㎡
と屋根面積が求められるのですね。
より正確な屋根面積を求めたいときは、やはり図面が必要です。
屋根面積計算に必要な図面は、平面図&立面図です。
図面の寸法はミリ単位で記載されていることが多いです。
ミリ単位を1/1000すると、メートル単位になります。
床の外側に破線(点線)で表現しているのが、屋根の投影図(真上から見た図)です。
立面図では屋根勾配が記号で表示されています。
この勾配が屋根面積の計算では大事なのですね。
ではこの図面に基づいて計算してみましょう。
まずは屋根の投影面積を求めます。
(長辺)
9.1 + 0.5×2 = 10.1m
(短辺)
6.37 + 0.5×2 = 7.37m
(投影面積)
10.1 × 7.37 = 74.4㎡
この投影面積に、勾配ごとの伸び率を乗じると屋根の実面積が求められます。
勾配伸び率 | |
---|---|
2寸 | 1.02 |
2寸5分 | 1.031 |
3寸 | 1.045 |
3寸5分 | 1.06 |
4寸 | 1.078 |
4寸5分 | 1.097 |
5寸 | 1.119 |
5寸5分 | 1.142 |
今回の図面では勾配記号が四寸と表記されているので、勾配伸び率は1.078。
74.4 × 1.078 = 80.2㎡
屋根の実面積は80.2㎡(24.3坪)となりました。
今回の図面では、一般的な切妻屋根という形状を採用しています。
住宅の屋根の形状はこの切妻屋根か、寄棟屋根と呼ばれるものがほとんどですね。
もし今回の図面で屋根形状が寄棟だったとしたら、実面積は変化するのでしょうか。
実は屋根形状にかかわらず、
の2点が同一であれば、実面積も同じなのです。
実際に計算して確かめてみてくださいね。
もっと特殊な形状の屋根について見ていきましょう。
工場などの大きな建物でよく見かける屋根に、折板屋根や波板屋根があります。
ともに平面ではなく波打つような形をしているので、屋根面積の計算も独特です。
具体的には形状に合わせた係数を乗じるという計算をしなければいけません。
折板屋根などの計算方法については、別の記事で詳しく解説しています。