実家のトタン屋根がそろそろ錆びてきた。
そんなときは、塗装の塗り替えタイミングかもしれません。
安価で丈夫なトタン屋根ですが、金属製なのでサビにはとても弱いのですね。
長持ちさせるためにも、適切に塗装をしてあげましょう。
実際に業者に依頼するとどのくらいの費用になるのか?
見積り例で解説していきます。
名称 | 仕様 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
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1.仮設工事 | |||||
外部足場 | くさび式 ブラケットー側 残置1ヶ月 材工共 | 290 | 架㎡ | 940 | 272,600 |
シート養生 | メッシュシート防炎1類 残置1ヶ月 〃 | 290 | 〃 | 460 | 133,400 |
小計 | 406,000 | ||||
2.屋根工事 | |||||
高圧洗浄 | 水洗い程度 | 100 | ㎡ | 240 | 24,000 |
下地調整 | 4種ケレン | 100 | 〃 | 500 | 50,000 |
さび止め塗装 | 変性エポキシ樹脂プライマー 1回塗り 材工共 | 100 | 〃 | 430 | 43,000 |
仕上塗り | シリコン系塗料 2回塗り 〃 | 100 | 〃 | 1,340 | 134,000 |
小計 | 251,000 | ||||
合計 | 657,000 | ||||
諸経費 | 合計の20% | 131,400 | |||
総計 | 788,400 |
ケレンの単価は安田塗装様のサイトを参考にしました
見積り例をもとに、実際の工事の流れを解説していきましょう。
足場は平屋建てなど安全が確保できるときは、設置しないこともあります。
特にトタン屋根は勾配が緩やかなので、作業員も動きやすいためですね。
トタン屋根は金属なので、経年とともに必ずサビが浮いてきます。
したがって塗り直しの前にはサビを除去する下地調整を行うのですが、この作業を一般にケレンと呼んでいます。
ケレンという用語は、クリーン(Clean)が訛ったものともいわれていますね。
このケレンですが、屋根の大きさやサビの状態によって単価が変わります。
一般に
と呼びます。
サビがほとんど見られないときは4種ケレン、サビが部分的に浮いているときは3種ケレンをします。
このケレン作業を丁寧にやるかどうかで、塗装の仕上がりや耐用年数に差が出ます。
通常のトタン屋根塗装では下塗りとしてさび止め塗装をしているので、仕上塗りは2回。
他の屋根と同様の塗料が使えます。
トタン屋根の塗り替えでは、金属屋根用の塗料が使われます。
まず昔からよく使われてきたのが、アクリル塗料です。
この塗料は価格も手頃な値段で短い期間で塗り替えができます。
ただアクリル塗料は耐久性が低いので、現在ではあまり使われていません。
そして色付きがとても良く光沢を出したい塗料なら、ウレタン塗料です。
ウレタン塗料の特徴としては、アクリル樹脂にウレタン樹脂を加えた塗料です。
ウレタン塗料もアクリルと同様に耐久性が低いので、頻繁に塗り替えなければいけないというデメリットがありますね。
現在一般的に良く使われているのが、シリコン塗料です。
塗料自体の価格も安く、耐久性が良いのが特徴です。
また、紫外線から屋根を守り、汚れも付きにくいのも利点です。
シリコンにセラミックを加えて作られたのが、セラミック塗料です。
この塗料は、対向製や耐久性に優れ、汚れにくく、防カビ効果があるのも特徴の一つです。
やや高価なものとして、フッ素塗料が挙げられます。
これはフッ素の力で撥水効果が高く、汚れがつきにくいという特徴がありますね。
フッ素塗料で塗り替えると比較的キレイに保たれるので、手入れの手間も省くことができます。
そして耐熱性や不燃性にも優れているために重宝されています。
ここまで代表的な塗料を解説していきましたが、いま私がオススメするのは遮熱塗料です。
遮熱塗料は太陽光を反射して、温度上昇を防ぐ働きがある塗料のこと。
トタン屋根は性質上熱を伝えやすいので、特に真夏は家全体が熱くなってしまいます。
その熱を少しでも軽減させるために、遮熱塗料を選んだ方がよいでしょう。
トタン屋根だったら塗装もカンタンそうだから、自分でDIYしよう。
そう考えている人は、ちょっと待ってください。
屋根塗装をDIYするのは、あまりオススメできません。
屋根の塗装は基本的に高所作業になります。
足場を組まないと転落事故の危険性が高いです。
また足場も適当に組んでしまうと崩落する可能性もあります。
前段でもお伝えしたとおり、トタン屋根の塗装は下地調整のケレン作業が肝になります。
ここをいい加減にしていまうと、仕上がりがとても悪くなるのですね。
ケレン作業は手作業でやると、大変な作業です。
サンドペーパーで地道にサビを削り取らなければいけません。
素人には厳しい工程ですね。
トタン屋根のサビがあまりに酷かったり、穴が空いているようなときは新しく葺き替えすることをオススメします。
また大きな問題が無かったとしても、施工から20年以上経過しているならばそろそろ寿命と考えましょう。
トタン屋根の葺き替え相場は、概ね1,000円/㎡~2,000円/㎡程度。
他の屋根材に比べると安価ですね。
大きく分けてこの2種類の葺き替え工法があります。
既存の屋根材を撤去する場合は、撤去する手間や廃棄物処理のコストがかかるので、若干工事費が高くなりますね。
またトタン屋根の施工は、基本的に現場で金属板を曲げ加工して貼り付けていく工程です。
スレート葺などと比較して、技術的に難しい工事です。
したがって作業員の熟練度によって、仕上がりに差が出てきてしまうのですね。
最近はトタン屋根施工の経験がある熟練工が減ってきています。
葺き替えするときは、施工実績のある工務店などに依頼することをオススメします。
トタン屋根のメリット&デメリットを簡単にまとめてみました。
トタン屋根は現場で加工しながら屋根を葺くことができるので、曲がっていたり折れ曲がっていたりする屋根にも対応できます。
敷地の問題などで特殊な設計になっている建物には、トタン屋根が採用されることが多いですね。
寒冷地で積雪量の多いところでは、トタン屋根が採用されることが多いです。
雪の重量にも負けない強度や、雪解け水が浸入してこない防水性が評価されていますね。
工場など床面積の広い建物では、屋根材にかかるコストは重いです。
その点トタン屋根なら材料費が非常に安いので、コストを抑えたいときに向いていますね。
何度か指摘している金属屋根の最大の弱点ですが、サビに弱いです。
特にトタン屋根は亜鉛メッキのみなので、メッキが剥がれてしまうと一気にサビが進行します。
防水性も弱まってしまうので、最悪の場合は葺き替えなければいけません。
トタン屋根は防音効果が劣るので、雨音がうるさいという欠点もあります。
ただ防音性については、野地板や断熱材を工夫することである程度は解消されますね。
最近はトタン屋根は減少傾向にあるので、施工できる業者も減ってきています。
特に現場で加工しながら施工するため、職人の技術力が問われる屋根材と言えるでしょう。
トタン屋根について、よくある質問をまとめています。
金属製の屋根というと、最近はガルバリウム鋼板というものが主流になっています。
トタンとガルバリウム鋼板では、何が違うのでしょうか?
両者の違いは、メッキ加工によるものです。
トタンは亜鉛でメッキ加工されていますが、ガルバリウム鋼板はアルミと亜鉛の合金でメッキ加工されています。
しかも鋼板の両面にメッキが施されているので、耐久性・耐食性に優れているのですね。
塗装もフッ素系遮熱塗料などの最近型が塗られていて、メーカー保証が20年以上ついている製品もあります。
もし今のトタン屋根が古くなって張り替えを検討しているなら、化粧スレートかガルバリウム鋼板を選ぶのが無難でしょう。
トタン屋根の塗り替え時期を判断するサインは、以下のとおりです。
特に最後のサビの発生が見られたら、早めの塗り替えをオススメします。
サビが出た状態で放置していると雨水が下部の野地板まで浸入し、雨漏りや腐食の原因となってしまうことも。
通常であればトタン屋根は耐久性に優れていますが、サビには弱いということを覚えておいてください。
トタン屋根の塗料は
とすることが普通です。
屋根の寿命を延ばすためにも、錆止め塗料は欠かせないですね。
オススメの錆止め塗料は弱溶剤形2液エポキシ系のハイポンファインプライマーⅡです。
二種類の液を混ぜる2液式のほうが、塗装の質が高くなります。
また以前の錆止め塗料は重金属(鉛・クロム)が含まれているものが多かったですが、最近は重金属フリーのものが主流です。
一方、中塗り・上塗り材は、他の屋根や外壁塗装と同様にグレードが分かれています。
私がオススメするのは遮熱塗料ですね。
金属屋根の欠点として熱伝導性が高いという性質があり、真夏の暑さが室内へ伝わりやすいのです。
その欠点をカバーするために、遮熱塗料を使うのをオススメしています。
また遮熱塗料を使って屋根を塗り替えると、自治体の補助金・助成金が出るケースもあります。
少しでもリフォーム費用を安くするという意味でも、遮熱塗料はオススメですよ。
金属屋根用の遮熱塗料としては、以下の製品が良いでしょう。
安っぽい見た目が災いして、最近は敬遠されがちなトタン屋根。
ただ価格の安さと耐久性を兼ね備えた、優秀な屋根材であることは事実です。
しっかりメンテナンスをして、長持ちさせたいですね。
トタン屋根塗装のまとめ