【光触媒塗料】外壁塗装の相場|高くてもメリットはある?

【光触媒塗料】外壁塗装の相場|高くてもメリットはある?

光触媒塗料とは?

光触媒塗料とは、酸化チタンの働きを利用して自己洗浄セルフクリーニング)を行う新世代の塗料です。

酸化チタンに380nm以下の波長の光が当たると、価電子帯の電子が励起され伝導帯に移る。伝導帯に移った電子は表面に吸着された酸素を還元し、スーパーオキサイドアニオン(・O2-)を生成する。一方、価電子帯の正孔(h+)は光触媒表面の吸着水を酸化し、ヒドロキシラジカル(・OH)を生成する。これらが反応中間体として作用し、光触媒表面に吸着した種々の物質を酸化・還元すると考えられている。酸化チタンでは伝導帯の電子による還元力よりも価電子帯の正孔による酸化力のほうが強く、強力な酸化分解力を持つことになる。

引用元:光触媒

太陽光に当たることで、外壁に付着した汚れなどを分解してくれるのですね。

 

光触媒塗料のメリットについて、詳しく見ていきましょう。

光触媒塗料のメリット|メンテナンスが楽になる

光触媒塗料のメリットを一言でいうと、メンテナンスがとても楽になるという点です。

汚れを分解してくれる

前項でかんたんに説明した通り、光触媒塗料に含まれる酸化チタンが太陽光に当たって、有機物を分解します。
外壁に付く汚れのほとんどは空気中の有機物なので、汚れが付着してもすぐに分解してくれるのですね。

 

親水性なので汚れが流れやすい

他の塗料は疎水性といって、水を弾きやすい性質を持っています。
しかし光触媒塗料は水が馴染みやすい親水性
親水性のメリットとして、分解した汚れを雨水が流してくれるという働きが期待できます。

 

光触媒による分解と親水性による洗浄効果。
この2つの働きが合わさることでセルフクリーニング効果が発揮されるのです。

 

抗菌作用によりカビや苔が生えにくい

有機物を分解する光触媒作用は、細菌などにも有効です。
カビの原因となる真菌や苔も分解してくれますから、経年とともに増える外壁のカビ対策としても機能するのですね。

 

夏の冷房費を抑える

酸化チタンの親水性により、光触媒塗料を使った外壁には雨水が広がりやすくなります。
真夏の暑い時期には、この雨水が気化熱により外壁の温度を下げてくれるのですね。

 

したがって冷房負荷が減り、電気代の節約にもなるのです。
ヒートアイランド現象の緩和策としても注目されているのですよ。

以上のようにメリットの多い光触媒塗料ですが、欠点はあるのでしょうか?
次の項でデメリットについて見ていきましょう。

デメリット|最大の欠点は価格が高いこと

光触媒塗料のデメリットとしてまず挙げられるのが、費用面での負担が大きいことです。

 

光触媒塗料は最もコストがかかる

以下が塗料の種類別にコストを比較したものです。

㎡あたり単価
(材工共)
一戸建て(30坪)
の費用例
アクリル 2,000円/㎡ 240,000円
ウレタン 2,330円/㎡ 279,600円
シリコン 2,540円/㎡ 304,800円
ラジカル制御型 3,100円/㎡ 372,000円
フッ素 3,380円/㎡ 405,600円
遮熱 3,260円/㎡ 391,200円
光触媒 3,500円/㎡ 420,000円

光触媒塗料の価格が高いことが、お分かりいただけるでしょう。
一般的に高機能といわれるフッ素系や遮熱塗料よりも高いですね。

 

いくらメリットがあると言っても、塗装費用がかさんでしまうと二の足を踏む人も多いですね。

 

施工できる業者が少ない

光触媒塗料はまだ商品化されてから間もないので、施工実績も非常に少ないです。
他の種類の塗料とは異なるノウハウも必要なので、施工できる塗装業者が非常に限られていますね。

 

塗料メーカーでも施工店を制限していることがあります。
例えば後ほど紹介するピュアコートの場合、塗装する建物によってはメーカー自らが責任施工で行うことも。

ピュアコートはメーカー責任施工が多い

たしかに自社の責任施工であれば品質は維持できるのですが、他の塗装会社から相見積もりをとって価格交渉をする余地がなくなってしまいます。
結果として費用が高くついてしまうというデメリットもありますね。

 

建物の状況によっては効果を発揮できないこともある

酸化チタンは太陽の紫外線の働きによって、自己洗浄作用を発揮します。
したがって日当たりの悪い外壁面だと、十分に機能しないこともあるのです。

 

また庇が長く雨が当たらない外壁面では、雨水によるクリーニング効果も期待できません。
事前に施工業者の現地調査をしてもらい、光触媒塗装をするメリットがあるかを確認しておきましょう。

 

以上が光触媒塗料のデメリットでした。
次に塗膜がどのくらいの期間保つのか?(耐用年数)について見ていきましょう。

耐用年数はフッ素や遮熱塗料と同等

以下のグラフが、塗料の種類別の平均耐用年数をまとめたものです。

塗料の種類別耐用年数

一般に価格が高いものほど、耐用年数も長くなります。

 

光触媒塗料の耐用年数は平均18年ほどで、フッ素系塗料や遮熱塗料と同等であることが分かりますね。

 

ちなみにこの3種類の塗料を機能性で比較してみました。

汚れにくい 省エネ コスパ
フッ素
遮熱塗料
光触媒

汚れにくさでは、フッ素と光触媒が優れています。
省エネ効果は、遮熱塗料と光触媒。
コスパでは光触媒が劣るということが読み取れますね。

光触媒を使った塗装工事見積もり例

実際に光触媒塗料で外壁塗り替え工事を行う際の見積書の例を見てみましょう。

  • 延べ面積35坪の一戸建て
    (外壁面積:約39坪)
  • 既存の窯業系サイディング壁の塗り替え
  • バイオミミック(BM-Uコート)を使用

以上の条件で見積もりシミュレーションをしてみました。

名称 仕様 数量 単位 単価 金額
1.仮設工事
外部足場 くさび式 ブラケットー側 残置1ヶ月 材工共 250 架㎡ 940 235,000
シート養生 メッシュシート防炎1類 残置1ヶ月 〃 250 架㎡ 460 115,000
小計 350,000
2.外壁工事
高圧洗浄 水洗い程度 軒天部含む 手間 160 240 38,400
シーリング撤去 手間 50 m 410 20,500
シーリング 変性シリコーン系 材工共 50 m 910 45,500
下塗り 微弾性下地調整剤 1回 材工共 130 730 94,900
上塗り バイオミミック BM-Uコート 2回 材工共 130 3,500 455,000
小計 654,300
3.外壁付帯工事
軒天部 合成樹脂エマルションペイント 3回塗 30 1,350 40,500
破風板 合成樹脂調合ペイント 2回塗 50 m 720 36,000
小計 76,500
合計 1,080,800
諸経費 合計の15% 162,100
総計 1,242,900

総工費が約124万円(税抜)。
この金額はあくまでも一例なので、個々の条件で変わってきます。
もし実際に塗装工事をしようと検討しているのなら、専門業者に見積もりをとることをオススメします。

⇒中立的な専門カウンセラーに相談できる⇐

>お断りも無料で代行<

光触媒塗料を外壁塗装に使うメリットはある?

光触媒塗料は最も新しい技術を使った塗料なので、まだあまり普及していません。
もっと施工数が増えてくれば価格も下がってくるのでしょうが、まだ高いのが現状ですね。
耐久性や防汚性についても未知数な部分があります。

  1. 価格がまだ高い
  2. 熟練した施工業者が少ない
  3. コスパはフッ素のほうが良い

以上のような理由から、私の意見としてまだ光触媒塗料は使わなくてもよいという結論になります。
今後もっと普及して一般的になってくれば、検討してみるのも良いかもしれませんね。

光触媒塗料メーカーまとめ

光触媒塗料の先駆けと言えるのが、TOTOのハイドロテクトコートです。
次世代の外装用塗料として注目されていたハイドロテクトコートでしたが、施工の難しさなどから敬遠されてしまい、販売実績は伸び悩みました。
残念ながら2017年6月をもって、生産中止となっています。

ハイドロテクトコート生産中止

ここではその他の光触媒塗料メーカー&商品をご紹介していきましょう

 

株式会社バイオミミック【バイオミミックコート】

バイオミミックコート公式サイト

バイオミミックコートは、スプレー塗装タイプの光触媒塗料です。
非常にクリアーなので、既存外壁の色や質感を損なわずに塗装できるのが特徴ですね。
また専用の下地剤を使うことにより、木質サイディングなどの有機物由来の外壁材にも塗布できるようになりました。
素材を選ばすに使える優秀な光触媒塗料ですね。

会社名 株式会社バイオミミック
代表的な塗料 バイオミミックコート
本社住所 〒150-0021
東京都渋谷区恵比寿西1-20-4 ル・ソレイユ5 6F
電話 03-5489-2691
URL http://www.biomimic-c.com/

 

株式会社 ピアレックス・テクノロジーズ【ピュアコート】

ピュアコート公式サイト

ピュアコートは下塗り不要で施工が容易な光触媒塗料です。
ピュアコートには、

  • 水性タイプ
  • 溶剤タイプ
  • タイル向け

の3種類があり、既存外壁の素材によって使い分けられます。
光触媒塗料としては比較的安価で、導入しやすいのもメリットですね。

会社名 株式会社 ピアレックス・テクノロジーズ
代表的な塗料 ピュアコート
本社住所 〒595-0016 大阪府泉大津市条南町4-14
電話 0725-22-5361
URL https://www.pialex.co.jp/

 

株式会社オプティマス【OPTIMUS WHITE PAINT】

オプティマス公式サイト

オプティマス・ホワイト(OPTIMUS WHITE PAINT)は、その名の通り美しい白色が特徴的な光触媒塗料です。
ラスモルタルやサイディングなどの外壁を、白く塗り替えるときに活用できますね。
ただ白系以外の色は選べないのが欠点です。

会社名 株式会社オプティマス
代表的な塗料 オプティマスホワイトペイント
(OPTIMUS WHITE PAINT)
本社住所 〒556-0021 大阪市浪速区幸町1-2-8 Minatomachi82bld.3F
電話 06-6562-1151
URL http://www.optimus.jp/