シリコン塗料で外壁塗装|見積もり相場&どれを選ぶべきか?

シリコン塗料で外壁塗装|見積もり相場&どれを選ぶべきか?

外壁や屋根を塗り替えようとするとき、塗料選びで迷ってしまうかもしれません。
塗装業者から複数の提案を受けても、違いがわからないという声も聞かれます。

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そんなとき、特にこだわりがなければシリコン塗料を選んでおきましょう。
我が国で一番シェアが大きい塗料がシリコン塗料ですから、とりあえず選んでおけば間違いないです。

 

設計単価
外壁 約2,500円/㎡
屋根(金属) 約2,600円/㎡
屋根(化粧スレート) 約2,100円/㎡

コスパの良さがシリコン塗料の魅力です。

 

今回の記事では、シリコン塗料で外壁&屋根を塗り替えるときのポイントや相場感についてお伝えしていきますね。

シリコン塗料とは

シリコン塗料は、正確にはアクリルシリコン塗料と呼ばれる種類の塗料です。

 

耐久性がフッ素塗料と同程度ながら、価格面では安いというコストパフォーマンスの良さが評価されています。

 

基本的には2種類の溶液を混ぜて使う2液型で、油性のものが多いです。
ただ最近は環境への配慮をした水性のものや、施工性を高めた1液型のものも販売されていますね。

環境保全,臭気対策のため,水性塗料への置換が進んでいる。建築上塗り仕上げ材では水性化比率が70%にもなっているという報告がある

引用元:塗料用樹脂の水性化

外壁の塗り替え工事見積もり相場&シリコン塗料の単価

外壁をシリコン塗料で塗り替えるときの見積もり例

ここでは、

  • 既存のサイディング外壁の塗り替え
  • 外壁面積125㎡(38坪)
  • 上塗材:クリーンマイルドシリコン(エスケー化研)

という条件で見積書の例を出してみます。

名称 仕様 数量 単位 単価 金額
1.仮設工事
外部足場 くさび式 ブラケットー側 残置1ヶ月 材工共 250 架㎡ 1,120 280,000
シート養生 メッシュシート防炎1類 残置1ヶ月 〃 250 架㎡ 540 135,000
小計 415,000
2.外壁工事
高圧洗浄 水洗い程度 軒天部含む 手間 160 250 40,000
シーリング補修 ひび割れ0.3mm未満(部分)シール充填工法 材工共 50 m 320 16,000
上塗り クリーンマイルドシリコン 2回 材工共 125 2,200 275,000
小計 331,000
3.外壁付帯工事
軒天部 合成樹脂エマルションペイント 3回塗 30 1,440 43,200
破風板 合成樹脂調合ペイント 2回塗 50 m 770 38,500
小計 81,700
合計 827,700
諸経費 合計の20% 165,500
総計 993,200

諸経費を含めるとおおむね100万円の見積額となりました。

 

代表的な外壁用シリコン塗料の単価

水性セラミシリコン

水性セラミシリコン

メーカー エスケー化研
ホルムアルデヒド 極めて少ない
SR色(49種類)
ツヤ

  • 艶有り

  • 半艶

  • 3分艶

  • 艶消し

耐用年数 12~15年
設計単価 1,900円/m2 (上塗りのみ)

 

アートフレッシュ

アートフレッシュ

メーカー エスケー化研
ホルムアルデヒド 極めて少ない
SR色(49種類)
ツヤ 艶消しのみ
耐用年数 10~12年
設計単価 2,500円/m2 (下塗り含む)

アートフレッシュは、砂壁や土壁調、スタッコ調など既存塗膜の質感をそのままに、塗り替えを行う改修工法に用いられています。
塗り方としては既存塗膜を高圧洗浄したあと、

  • 下塗り(水性ミラクシーラーエコ):1回
  • 上塗り(アートフレッシュ):2回

という流れです。
水性なので環境に優しいというメリットもありますね。

 

クリーンマイルドシリコン

クリーンマイルドシリコン

メーカー エスケー化研
ホルムアルデヒド 極めて少ない
SR色(49種類)
ツヤ

  • 艶有り

  • 半艶

  • 3分艶

  • 艶消し

耐用年数 12~15年
設計単価 2,200円/m2 (上塗りのみ)

クリーンマイルドシリコンは、2液型のシリコン塗料です。
このクリーンマイルドシリコンはNAD型と呼ばれるもので、超耐久性を実現しています。

「NAD」はNonAqueousDispersionの略称として塗料の分野で慣用される名称で,有機溶剤を媒体とするポリマー分散液を指し,このポリマー分散液と他の塗構成成分を混合してできる塗料をNAD塗料と呼んでいる。
引用元:焼付型NAD塗料

また様々な既存塗膜に対応できるので、改修用塗料としてとても汎用性に優れていますね。

このクリーンマイルドシリコンは塗料用シンナーで希釈するので、ニオイが気になることがあります。
ご家族に化学物質過敏症の人がいる場合は、注意してください。

屋根塗装にシリコン塗料を使うときの見積もり相場&単価

屋根は雨や太陽光など過酷な環境にさらされています。
したがって屋根塗装に使う場合、耐用年数が短くなってしまう傾向にあります。
外壁より頻繁に塗り替える必要があることに注意してください。

 

もし塗り替え回数を減らしたいのなら、耐用年数の長いフッ素塗料が良いでしょう。

 

屋根塗り替えの見積もり例

ここでは屋根の塗り替えでシリコン塗料を使うときの見積もり例を見ていきましょう。

見積もり条件

 

  • 既存の化粧スレート葺屋根の塗り替え
  • 屋根面積100㎡(30坪)
  • 上塗材:クールタイトSi(エスケー化研)
名称 仕様 数量 単位 単価 金額
1.仮設工事
外部足場 くさび式 ブラケットー側 残置1ヶ月 材工共 290 架㎡ 1,120 324,800
シート養生 メッシュシート防炎1類 残置1ヶ月 〃 290 540 156,600
小計 481,400
2.屋根工事
高圧洗浄 水洗い程度 100 250 25,000
下地調整 板金部 汚れ・付着物除去 研磨紙ずり 材工共 30 190 5,700
さび止め 板金部 鉛・クロムフリーさび止めペイント 〃 30 1,120 33,600
下地調整 屋根部 汚れ・付着物除去 研磨紙ずり 〃 100 570 57,000
遮熱塗料塗り クールタイトSi 下塗1回 上塗3回 〃 100 3,750 375,000
縁切り タスペーサー 100 360 36,000
小計 532,300
合計 1,013,700
諸経費 合計の15% 152,100
総計 1,165,800

 

代表的な屋根用シリコン塗料の単価

屋根の塗り替えに適している代表的なシリコン塗料の設計価格・特徴を挙げてみましょう。

 

水性ヤネフレッシュシリコン

水性ヤネフレッシュシリコン

メーカー エスケー化研
仕様 水性1液
標準23色
ツヤ

  • 艶有り

  • 艶消し

耐用年数 6~8年
設計単価 2,900円/m2 (下塗材含む)

水性ヤネフレッシュシリコンは、カラーベストなど化粧スレート屋根の塗り替えに特化したシリコン塗料です。
優れた密着性があり、旧塗膜に浸透して耐久性を発揮します。
また水性なのでニオイが少なく、化学物質過敏症の人がいても安心して使えます。
引火する危険もないので、施工時の安全面でも安心ですね。
ただし、耐用年数が6~8年と短いので注してください。

水性ヤネフレッシュシリコンの色見本

 

ナチュラルシリコンルーフS

ダイヤナチュラルシリコンルーフS

メーカー ダイフレックス
仕様 弱溶剤性1液
標準20色
ツヤ

  • 艶有り

  • 艶消し

耐用年数 6~8年
設計単価 スレート屋根:3,000円/m2
金属屋根:2,700 円/m2
(下塗材含む)

ナチュラルシリコンルーフSは、スレート屋根だけでなく金属系(トタン屋根など)の塗り替えにも適しているシリコン塗料です。
ただし弱溶剤系でシンナーが含まれているので、ややニオイが強いので注意してください。

ナチュラルシリコンルーフSの色見本

 

屋根にはシリコン系遮熱塗料がオススメ

最近は真夏の気温上昇が激しく、特に都市部のヒートアイランド現象が深刻です。
そんな中で注目されているのが、日光を反射する機能を持つ遮熱塗料
太陽光を反射することで家の温度上昇を抑え、冷房効率を高める働きがあります。

高反射率塗料を建物外被に塗布することにより外側表面温度の上昇を抑え,これにより室内の温度上昇を抑えることができる
引用元:高反射率塗料による日射熱負荷軽減とヒートアイランド現象の緩和に関する研究

特に太陽光を直接浴びる屋根は、遮熱塗料にするメリットが大きいです。

 

遮熱塗料は既存の塗料をベースに遮熱性能を付与したもの。
シリコン系遮熱塗料は、比較的安価に導入できるのでオススメです。

商品名
(メーカー)
設計価格
クールタイトSi
(エスケー化研)
3,750円/㎡
アレスクール2液Si
(関西ペイント)
3,600円/㎡
キクスイSPパワーサーモSi
(菊水化学工業)
3,600円/㎡
サーモアイSi
(日本ペイント)
3,930円/㎡
ミラクールS100
(ミラクール)
3,800円/㎡

また屋根に遮熱塗料を使う塗装工事については、自治体による補助金が支払われることも。
お住まいの市区町村役場に確認してみてください。
詳しくは外壁塗装の補助金についてをご覧ください。

シリコン塗料のメリットとデメリット

シリコン塗料の良い点・悪い点を挙げてみましょう。

メリットその1:光沢感が長持ちする

シリコン塗料の特徴として、肉持ち感のある光沢感の良い仕上がりがあります。
そしてこの光沢感が長期間維持できる(光沢保持率が良い)というメリットも。
製品によっては10年以上の耐久性がありますね。
シリコン塗料の光沢保持率は、シリコン含有量に左右されます。
下図のようにシリコン含有量が多い塗料は、光沢保持率も良い傾向にあります

シリコン塗料の光沢保持率グラフ

-日本ゴム協会誌「シリコーンワニス」より引用-

したがってシリコン塗料を選ぶときは、シリコン含有量にも注目しておきましょう。

 

メリットその2:速乾性があり作業性が良い

これは塗装する業者からみたメリットです。
シリコン塗料は表面乾燥までの時間が速く、ホコリがつくなどのトラブルが少ないです。
気温の低い冬でも作業しやすいので、塗装業者に好まれる塗料ですね。

 

メリットその3:色や艶の種類が豊富

塗料の種類によっては色や質感のバラエティが少なく、良いものを選べないという欠点があります。
その点シリコン塗料の場合は、樹脂が透明で変色が少ないのが特徴です。
したがって、

  • クリア塗装
  • 透明着色塗装
  • 不透明着色塗装(メタリック含む)

とバリエーションが豊富なのですね。
「自由に色を選びたい」というニーズに応えてくれる塗料です。

 

デメリット

シリコン塗料は価格と性能のバランスが取れていて、大きなデメリットがありません。
あえて挙げるとすれば、

  1. 製品によっては耐久性にバラツキがある
  2. フッ素塗料に比べて耐用年数が短い
  3. 既存塗膜との相性が悪いとリフティングを起こす

といったところでしょうか。

シリコン塗料と他の塗料との比較

シリコン塗料と他の塗料を比較するため、耐用年数と価格面でのグラフを作りました。

シリコン塗料と他の塗料とのコスパ比較

他の塗料と比較しても、耐用年数と価格のバランスが良いことが分かりますね。
ただ最近では、

  • シリコン樹脂をベースに耐久性を高めたラジカル制御型塗料
  • 耐用年数が最長クラスのフッ素塗料

などの新しい種類が出てきています。
どんな塗料を選んだら良いか、業者とていねいに相談してみましょう。

シリコン塗料Q&A

シリコン塗料が適しているケースとは?

シリコン塗料の最大のメリットとして、コスパの良さが挙げられます。
したがって、
「なるべくお金をかけたくない」
「でもそれなりに耐久性があるものにしたい」
といったコストパフォーマンスを重視する人におすすめです。

シリコン塗料を選ぶときの注意点とは?

シリコン塗料は我が国で最も普及しているので、様々な商品があります。
ひとくちにシリコン塗料と言っても、価格や性能は様々。
選ぶ時のポイントを挙げてみましょう。

シリコン含有量が多いものを選ぶ

シリコン塗料はシリコン樹脂の含有量が多いものほど、耐久性・耐候性に優れています。
ただ市販されている塗料の一部には、シリコン含有量が20%程度と少ないものもあります。
このような含有量が少ない塗料は、アクリル塗料と同等の性能しかありません。
以下に挙げるような、シリコン含有量45%超のものを選びたいですね。

  • 水性セラミシリコン
  • アートフレッシュ
  • クリーンマイルドシリコン

 

耐用年数を必ずチェックする

シリコン塗料の一般的な耐用年数は10年前後とされていますが、商品によってバラつきがありますね。
耐用年数15年超を謳っているシリコン塗料もありますが、やや疑わしいというのが率直な印象。
塗料メーカーのホームページでは、商品ごとに詳細データが掲載されています。
耐用年数についても記載がありますから、業者の言うことを鵜呑みにせずに耐用年数について確認しておきましょう。

塗り面積の求め方

ここでは塗装工事を発注するときに押さえておきたい、塗り面積の求め方について触れておきます。

 

外壁の面積

もし家を建てたときの図面が残っているなら、平面図と立面図をもとに計算できます。
また図面がなくても、諦めないでください。
延べ床面積から大体の目安を計算することも可能ですよ。

 

平面図・立面図がある

概算算出

図面がなく水平投影面積もわからない

(延べ床面積 ÷ 0.3025 ÷ 2)の平方根 ✕ 4 ✕ 6 ✕ 0.9

 

屋根の面積

平面図・立面図がある

水平投影面積 ✕ 勾配伸び率

図面がなく水平投影面積もわからない

延べ床面積 ÷ 2 ✕ 1.3 ✕ 1.1